スマートフォンのカメラロールに眠る、大切な写真たち。デジタルデータは便利ですが、画面の中で忘れ去られがちです。もし、その一瞬を物理的な形にして手帳に貼ったり、友人に手渡したりできたら、思い出はもっと温かく、特別なものになるでしょう。
そんな「思い出を形にする」体験を、驚くべき価格で実現するのが【Xiaomi Portable Photo Printer 1S】です。1万円を切る衝撃的な価格設定で、ポータブルフォトプリンター市場に新たな選択肢を提示しました。
しかし、この安さは性能の妥協を意味するのでしょうか? Xiaomiは単なる格安製品を送り出したのか、それとも価格破壊のゲームチェンジャーとなり得るのか。本記事では、総合的な価値を徹底的に評価します。





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Xiaomi Portable Photo Printer 1S のスペックと主な特徴

詳細なレビューに入る前に、まずは【Xiaomi Portable Photo Printer 1S】の基本的な性能を見ていきましょう。そのスペックからは、この製品がどのようなコンセプトで作られたのかが伝わってきます。
主要スペック
特徴 | 仕様 |
印刷技術 | 熱伝導 (ZINK - Zero Ink) |
印刷解像度 | 313×512 dpi |
フォトフィルムサイズ | 2×3インチ (50×76mm) |
印刷速度 | 約45秒/枚 |
接続方法 | Bluetooth 5.2 |
本体サイズ | 124×82×22 mm |
重量 | 約180g |
バッテリー容量 | 500mAh (リチウムイオンポリマー) |
フル充電での印刷枚数 | 約20枚 |
充電ポート | USB Type-C |
対応OS | Android 8.0 / iOS 12.0 以降 |
対応アプリ | Xiaomi Home |
同時接続 | 最大3人まで |
サポートファイル形式 | JPEG, PNG, HEIF |
特徴の深掘り
インク不要の「ZINK」テクノロジー

本製品の最大の特徴の一つが、インクカートリッジを一切必要としない「ZINK (Zero Ink)」印刷技術の採用です。これは、シアン、マゼンタ、イエローの染料クリスタルを内蔵した専用のフォトペーパーに、プリンターヘッドが熱を加えることで発色させる仕組みです。
この仕組みによりインク切れの心配や、高価なカートリッジを買い足す手間から解放されます。インクで手が汚れることもなく、メンテナンスも非常に簡単。まさに「思い立ったらすぐ印刷」という手軽さを実現するための核心的な技術と言えるでしょう。
圧倒的な携帯性

重量は約180g、サイズは124×82×22mm。この数値だけではピンとこないかもしれませんが、これは最新のスマートフォンとほぼ同じか、少し軽いくらいの重量です。ポケットやバッグの隅にすっと収まるサイズ感は、まさに「ポケットサイズ」の名にふさわしく、旅行やイベント、友人との集まりなど、どこへでも気軽に持ち運べます。内蔵バッテリーで駆動するため、電源ケーブルの制約もありません。
Bluetoothでの複数人同時接続

Wi-Fi環境がない場所でも、スマートフォンとBluetoothで簡単に接続できるのが強みです。さらに特筆すべきは、最大3人のユーザーが同時にプリンターに接続し、印刷ジョブをキューに追加できる「マルチユーザー接続機能」です。これにより、パーティーや家族の集まりで、それぞれのスマートフォンからお気に入りの写真を次々と印刷するといった、ソーシャルな楽しみ方が可能になります。
Xiaomi Portable Photo Printer 1S のパッケージと本体デザイン
開封〜内容物の紹介

パッケージはXiaomi製品らしい白を基調としたシンプルなデザイン。猫の写真をプリント中の製品イラストが描かれており、親しみやすさを演出しています 。

パッケージの背面や側面には多言語で製品説明が記載されていますが、日本語の表記はありませんでした。

箱を開けると、以下の内容物が整然と収められています。
- プリンター本体 ×1
- USB Type-C 充電ケーブル ×1
- 取扱説明書 ×1
- ZINKフォトフィルムパック (5枚入り) ×1

最初に試せるよう、5枚のフォトペーパーが同梱されているのは嬉しい配慮です 。
フォトペーパーは1枚あたり64円

フォトペーパーは20枚セットで1,280円で販売されています。1枚当たりの価格は64円となります。本体に付属の5枚を使い切ったら別途購入していきましょう。
上質さを纏ったミニマルを極めたミニマルデザイン

プリンター本体を手にしてまず驚くのは、その質感の高さです。素材はプラスチックですが、シルバー色で統一された上品な仕上げが施されており、まるで金属のようなひんやりとした高級感を漂わせています。これが1万円以下の製品とは思えないほどの洗練された佇まいで、「安かろう悪かろう」という先入観は良い意味で裏切られます。カメラと一緒に飾っておきたくなるような、所有欲を満たすデザインです。

インターフェースは極めてミニマル。写真の出力側側面には電源ボタンとBluetoothの接続状況を示すライトを備えています。

反対側には充電用のUSB Type-Cポートと充電状態を示すインジケーターが配置されています。このポートは充電専用であり、PCとのデータ接続には対応していませんが、その割り切りがシンプルで直感的な操作性を生んでいます。
スムーズな用紙セットを実現

本体をスライドさせると、用紙トレイが現れる仕組みです。このスライド機構が非常に滑らかで、力を入れずともスムーズに開閉できます。

用紙のセットは簡単3ステップです。
これだけで準備は完了です。非常に簡単です。
Xiaomi Portable Photo Printer 1S は専用アプリ「Xiaomi Home」にて使用
【Xiaomi Portable Photo Printer 1S】の真価は、専用アプリ「Xiaomi Home」と連携して初めて使用することができます。
使用するにはXiaomiアカウントの登録が必須

このプリンターを使い始めるには、少々手間がかかります。Bluetoothペアリングはスムーズですが、まず「Xiaomi Home」アプリのダウンロードとアカウント作成が必要です。
さらに、スマートホームプラットフォームであるこのアプリで、プリンターを「デバイス」として「部屋」に割り当てる手順を踏む必要があります。単体で手軽に使いたいユーザーにとっては、少し煩わしく感じるかもしれません。

Androidスマートフォンだけでなく、iPhoneでも問題なく使用できます。


スマート電球やロボット掃除機ならまだしも、単体のポータブルフォトプリンターを使うためになぜ家の間取りを設定する必要があるのか。この一手間は、本製品の唯一とも言える明確な欠点であり、購入を検討する上で知っておくべき事実です。

フォトプリンター専用のアプリを展開してほしかったところです。
直感的な操作で印刷が可能


しかし、一度このセットアップの関門を乗り越えてしまえば、その先の操作性は非常に快適です。アプリのインターフェースは直感的で分かりやすく、ストレスなく印刷までたどり着けます。
基本的な印刷フローは以下の通りです。
非常にシンプルで、誰でも迷うことなく印刷できるでしょう。

印刷が始まると、スマートフォンの画面上でも写真がじわじわと押し出されていくようなアニメーションが表示され、物理的なプリントが出てくるまでの待ち時間さえも楽しませてくれる工夫が凝らされています。

印刷時間は約45秒です。
豊富なクリエイティブ機能を搭載
「Xiaomi Home」アプリの真骨頂は、その多彩な編集機能にあります。
フィルター、フレーム、透かし


- 8種類のフィルターで写真の雰囲気を変えたり、チェキのようなフレームを付けたりできます 。ユニークなのは「透かし」機能で、カメラの撮影情報や好きなテキスト、さらには自分のプロフィールアイコンまで写真に埋め込むことが可能です 。

撮影情報は誤りがある場合があります。手入力で修正が可能です。
コラージュと分割印刷


- 複数の写真を一枚にまとめるコラージュ機能も搭載。最大4枚までをまとめることが可能で、いろいろな組み合わせを楽しむことができます。また、「グリッド分割」機能を使えば、一枚のお気に入りの写真を複数枚に分割して印刷し、並べて大きなアートのように飾ることも可能です 。
これらの機能は、少々面倒なアプリ設定を乗り越える価値のある、強力な魅力と言えるでしょう。Xiaomiのエコシステムに足を踏み入れることで、他社の同価格帯製品では味わえない、ユニークで創造的な体験の扉が開かれます。
Xiaomi Portable Photo Printer 1S の印刷された写真の品質を徹底検証
ここまでガジェットとしての魅力やアプリの楽しさを語ってきましたが、フォトプリンターである以上、最も重要なのはやはり「印刷品質」です。ここでは、【Xiaomi Portable Photo Printer 1S】が吐き出す写真のクオリティを、様々な角度から徹底的に検証します。
ZINKプリントは味わい深い「エモい」写真に

まず大前提として、ZINK方式のプリントは、写真店の銀塩プリントや家庭用の高画質インクジェットプリンターとは目指す方向性が異なります。その仕上がりは、しばしば「レトロ」「ノスタルジック」、あるいは現代的な言葉で「エモい」と表現されます。
完璧な色の忠実性やシャープネスを追求するのではなく、その独特の風合いや質感を「味」として楽しむためのものと理解することが重要です。「すごく綺麗というわけではないけど、これはこれで味があってよい」と捉えましょう。
黄み・赤みがかった「レトロ調」の仕上がり

色の再現性
【Xiaomi Portable Photo Printer 1S】で印刷された写真は、全体的に黄色や赤みを帯びる傾向があります。特に緑や青といった寒色系が、元のデータとは異なる温かみのある印象で出力されることがあります。
これはZINK技術の特性によるもので、完璧な色再現を求める方には不向きですが、この独特の色味を「レトロ調」や「エモい」雰囲気として楽しむのが、このプリンターとの賢い付き合い方と言えるでしょう。
解像感とディテール
スペック上の解像度は十分ですが、実際のプリントは元の写真と比べてやや柔らかく、少しぼやけた印象を受けます。風景の細かい部分や人物の髪の毛といった繊細な表現は、あまり鮮明には出ません。
しかし、これはデメリットばかりではありません。スマートフォンのカメラで撮った、もともと画質の低い写真でも、その粗さが目立ちにくくなるというメリットもあります。この特性を活かせば、気軽に撮った日常のスナップも、味のある写真として楽しめます。

写真自体も小さいため、筆者は色味や解像度については気になるようなことはありませんでした。
Xiaomi Portable Photo Printer 1S の価格

【Xiaomi Portable Photo Printer 1S】を語る上で、その圧倒的なコストパフォーマンスを避けて通ることはできません。初期投資の安さと、継続的にかかるランニングコストはまさに格安です。
手軽に楽しめる低価格設定
本製品の公式販売価格は税込8,980円です。1万円を大きく下回るこの価格設定は、ポータブルフォトプリンター市場において極めて攻撃的と言えるでしょう。
そして、消耗品である専用のZINKフォトフィルムは、20枚入りのパックが税込1,280円で販売されています。ここから1枚あたりの印刷コストを計算すると、約64円となります。この手頃なランニングコストも、気軽に印刷を楽しめる大きな要因です。
- 本体価格:8,980円
- 用紙価格:1,280円 (20枚)
- 1枚あたりのコスト:64円




この価格で、いつでもどこでも写真をシールとして印刷できる環境が手に入るのです。
まとめ:思い出を「貼る」楽しさを、最高コスパで。
【Xiaomi Portable Photo Printer 1S】は、ZINK技術特有の風合いや、初回アプリ設定の手間は確かにあります。しかし、8,980円という驚異的な価格を考えれば、これらは些細な点に過ぎません。
このプリンターが提供するのは、単なる「写真の出力」以上の価値です。スマートフォンの中に閉じ込められていた思い出に、手触りや温もりを与え、現実の世界に「解き放つ」体験そのもの。気軽にプリントして手帳に貼ったり、友人に渡したりすることで、コミュニケーションがぐっと豊かになります。
プロ並みの完璧な画質を求めるのではなく、「手軽に」「楽しく」「思い出を共有したい」というニーズに完璧に応える一台です。【Xiaomi Portable Photo Printer 1S】は、あなたのスマホライフに新たな楽しみを加えてくれる、非常にお買い得なアイテムだと言えるでしょう。
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