近年、周囲の音を遮断せずに音楽を楽しめる「ながら聴き」イヤホンの人気が高まっています。その中でも、耳を塞がない開放感とユニークな装着スタイルで注目を集めるイヤーカフ型イヤホン市場に、QCYが意欲的な新製品【QCY Crossky C30S】を投入しました。
QCYといえば、高品質ながらも手頃な価格のオーディオ製品で知られるブランドです。そのQCYが、人気モデル「Crossky C30」で培ったノウハウを基に、さらなる進化を遂げたと謳うのがこのC30Sです。本記事では、【QCY Crossky C30S】がどのような魅力と実力を秘めているのか、その全貌を詳細にレビューします。
デザイン、装着感、注目のサウンド性能(特にLDAC対応)、接続性、バッテリー、各種機能に至るまで徹底的に掘り下げ、さらに前モデルC30との比較も交えながら、あなたが最適な一台を見つけるお手伝いをいたします。



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QCY Crossky C30S スペック概要

機種名 | QCY Crossky C30S |
色 | シルバー |
寸法・重量 | イヤホンサイズ:29.0×15.7×26.0mm イヤホン重量 :約5g(片側) ケースサイズ :66.0×25.6×49.0mm ケース重量 :約42.5g(イヤホン含む) |
ドライバーサイズ | 10.8mm デュアルマグネット |
ダイアフラム | カーボンファイバー |
対応コーデック | LDAC, AAC, SBC |
ハイレゾ対応 | 対応 |
Bluetoothバージョン | 6.0 |
バッテリー(イヤホン) | バッテリー容量:460mAh(ケース) , 32mAh(イヤホン) 連続再生時間:40時間(イヤホン単体6時間) |
充電ポート | USB Type-C |
急速充電 | 10分充電で1時間再生 |
通話ノイズキャンセル | AIマイク、デュアルマイクENC |
ANC(音楽再生時) | 非対応 |
防水規格 | IPX5 |
マルチポイント接続 | 対応 |
音漏れ抑制技術 | Directional Audio 3.0、逆音波キャンセレーション |
特長(イヤホン) | Anti-Z型イヤークリップ、ニッケルチタン合金フレーム、ダイナミックオーディオチューニング (48,000回/秒) |
専用アプリ | QCYアプリ対応 |
QCY Crossky C30S の上質でまるでアクセサリー感覚で着けれるおしゃれなデザイン
開封〜パッケージの紹介

パッケージは、製品画像が大きく配置され、日本語での説明も記載されており、日本市場を意識した丁寧な作りです。

背面にはスペックが記載されています。

ローカライズを怠らないQCY。日本市場に本気ですね。
内容物の紹介

箱の中には以下のものが同梱されています。
- QCY Crossky C30S イヤホン本体+充電ケース
- 充電用USB Type-Cケーブル
- 日本語取扱説明書
パッケージ同様、取扱説明書は完全に日本語に対応しています。安価な製品では多言語対応の取扱説明書をよく見かけますが、本製品は日本語のみの記載となっており、非常に見やすい仕様となっています。
本体外観の紹介

【QCY Crossky C30S】の充電ケースは、寸法が66.0×49.0×25.6mmとコンパクトです。デザイン、LEDインジケーター、USB Type-C充電ポートの位置などは、廉価モデルの【QCY Crossky C30】と同じく、シンプルで機能的なデザインと言えるでしょう。
しかし、表面の素材やロゴの処理には高級感が増しており、所有欲を満たしてくれるようなアップデートが感じられます。
LEDインジケーターは充電ケースの充電状況が確認できます。点滅は充電中、点灯は充電完了を示します。

充電ケースの表面は細閃メタリック塗装という防汚加工です!

充電ケースの裏側には、充電用のUSB-Cポートのみが備わっています。ヒンジなどに装飾が施されていない点は、高価なTWSとは違い、安価でシンプルな設計であることを示しています。
イヤホンは置くように収納が可能

蓋の内側には技適認証マークが記載されており、日本国内でも安心して利用できることが分かります。
また、イヤホンは充電ケースに磁力で吸着するため、収納時にパチッと吸い込まれるように収まります。

イヤホン収納時は左右間違いがちなので、要注意です。
イヤホン本体は優れた装着感と快適な装着感を追求

イヤホン本体の 素材にはシリコン、プラスチック、そしてこのニッケルチタン合金が用いられています。耳に触れる内側はマットな質感、外側は光沢のある非導体めっき加工仕上げで、スタイリッシュさも兼ね備えています。スピーカーやマイク、充電端子、LEDインジケーター、タッチセンサーは機能的に配置されています。

装着は、イヤホンのスピーカーが搭載された方(小さい方)を耳の内側にかけ、ケーブル部分を耳の後ろに回すように行います。前後をつないでいるケーブル部分は柔軟性があるため、どんな耳の形状にもフィットする設計となっています。

鏡面仕上げの表面で、まるでアクセサリを付けているかのような印象を与えます。
イヤホンとしての重量は標準的

イヤホン本体の重量は片耳わずか5.2gです。ワイヤレスイヤホンとしては標準的な重さと言えるでしょう。

充電ケースを含めた重量は実測で43.1gでした。こちらはワイヤレスイヤホンとしては非常に軽量な部類にあたり、ポケットの中に入れても存在感を感じることはありません。
コンパクトで持ち運びに最適

本製品の充電ケースは非常にコンパクトで、角のない薄型設計となっているため、ポケットやカバンに入れて持ち運ぶ際にもかさばりません。
廉価モデル「C30」とは形状が同一

前述の通り、本モデルは、廉価モデルの「QCY Crossky C30」と形状面では同一です。しかし、内部の性能面は大きく進化しています。詳細な性能比較については後述しますが、もし音質や機能面で妥協できるのであれば、より手軽な価格で入手できる「QCY Crossky C30」も依然として魅力的な選択肢となるでしょう。

スペック比較表は後半で!
QCY Crossky C30S は次世代のワイヤレス通信規格であるBluetooth v6.0に対応
2025年6月時点で最新のBluetooth規格で性能が向上

【QCY Crossky C30S】は、2025年時点の最新規格であるBluetooth 6.0を搭載しています。 この最新規格は、従来のBluetooth 5.4から飛躍的な進化を遂げており、ユーザー体験を格段に向上させます。
Bluetooth 6.0がもたらす主な進化点は以下の通りです。

これらの恩恵を受けるためにはサーバー側(接続先)も同規格に対応している必要があります。
マルチポイント接続に対応

また、2台のデバイスと同時に接続し、再生デバイスをスムーズに切り替えられるマルチポイント接続にも対応しています。これにより、例えばタブレットで動画を視聴中にスマートフォンに着信があっても、イヤホンを付け替えることなく応答できるなど、日常の利便性が向上します。
ペアリング方法は下記の通りです。
これで、マルチポイント接続が完了し、2台のデバイスで【QCY Crossky C30S】を使用できるようになります。
なお、マルチポイント接続中は、音声の再生はどちらか一方のデバイスからのみとなります。両方のデバイスから同時に音声を再生することはできません。

再生デバイスの切り替えはとてもスムーズです!
QCY Crossky C30S はENCノイズキャンセリングに対応しクリアな音声通話が可能
クリアな通話を実現するENCノイズキャンセリングを搭載

【QCY Crossky C30S】は、ENCノイズキャンセリング機能を搭載。左右合計4基の内蔵マイクが、通話時の周囲の騒音を効果的に低減し、クリアな音声を相手に届けます。実際に試したところ、騒がしい場所でも相手の声が聞き取りやすく、こちらの声もクリアに伝わっていると好評でした。

公式では「AI通話ノイズキャンセリング」と表記されています!
音楽再生時のノイズキャンセリング機能は非対応
しかし本製品は、低価格帯モデルでも搭載が進むアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能には非対応です。
これは、本製品が「イヤーカフ型」であるため。イヤーカフ型は周囲の音を聞きながら使用できるのが特徴で、ANCとはコンセプトが異なります。そのため、今後のモデルでもANC搭載の可能性は低いでしょう。「ながら聴き」に特化することで、独自の快適なリスニング体験を提供しています。
QCY Crossky C30S は10.8mm大型ドライバーとLDAC対応で開放型とは思えない高音質を実現
Hi-Res & LDAC対応かつ再現性の高い大型ダブル磁気ドライバーを搭載

【QCY Crossky C30S】は、10.8mmの大型ダブル磁気ドライバーを搭載しており、低音域の再現力が非常に高いと感じました。イヤーカフ型でありながら、しっかりとした量感と深みのある低音が特徴です。
さらに、Hi-Res Audioに対応し、LDACコーデックもサポートしているため、開放型とは思えないほどクリアで立体的なサウンドを提供してくれます。実際にハイレゾ音源を聴いてみると、音の粒立ちが良く、細かな楽器の音も聞き取ることができました。まさにCD音源に匹敵する高解像度サウンドで、イヤーカフイヤホンとしてはトップレベルの音質を備えていると言えるでしょう。

LDACはAndroidスマホのみ再生可能で、かつアプリで設定する必要があります!
360°空間オーディオで没入感のあるサウンド体験

また本製品は、360°空間オーディオ機能に対応しており、音楽や動画コンテンツを再生した際に、音に包み込まれるような感覚を体験できます。実際に様々な音源で試してみたところ、音の広がりと奥行きが感じられ、没入感が向上する効果が確認できました。
さらに、毎秒48,000回のダイナミックオーディオチューニングにより、バランスの取れた周波数特性と立体的な音場を提供するとされています。これにより、オープンイヤー型ながらも、より自然で臨場感あふれるサウンドを楽しめるでしょう。

こちらもアプリで設定する必要があります!
バージョンアップした音漏れ対策技術「Directional Audio 3.0」

オープンイヤー型イヤホンの課題の一つである音漏れに対し、本製品は「Directional Audio 3.0」と逆音波キャンセレーション技術を搭載し、音漏れを大幅に削減すると謳っています。
しかし、実際に使ってみると、特に音量を上げた場合に音漏れが気になることがありました。静かな環境では、通常のリスニング音量でも周囲に曲が判別できる程度に漏れるため、使用シーンには注意が必要だと感じます。オープンイヤー型の構造上、ある程度の音漏れは避けられないため、過度な期待は禁物と言えるでしょう。

電車やバスでは問題なく使用できますが、図書館など静かな空間では音量を落として使用しましょう。
QCY Crossky C30S はケース込みで長時間の音楽再生を実現
合計最大40時間の長時間再生

バッテリー性能は【QCY Crossky C30S】の大きな強みの一つです。イヤホン単体で最大6時間、付属の460mAh充電ケースを併用することで、合計最大40時間という長時間の再生が可能です。これはイヤーカフ型イヤホンの中でもトップクラスの持続時間であり、頻繁な充電の手間を軽減してくれます。

機能モリモリなのに長時間再生可能で、ケース込みではイヤーカフ型トップクラスです!
急速充電にも対応
さらに、USB Type-Cポート経由での急速充電に対応しており、わずか10分の充電で約1時間の再生が可能です。忙しい現代人にとって、この急速充電機能は非常に心強い味方となるでしょう。
QCY Crossky C30S は専用アプリ「QCY」に対応しタッチ操作やイコライザーなどをカスタマイズ可能
アプリは非常にシンプルで見やすく直感的な操作が可能




【QCY Crossky C30S】は、専用の「QCY」アプリに対応しています。アプリをインストールすることで、イコライザー設定やファームウェアアップデートなど、さらに詳細な設定を行うことができます。
アプリの主な機能は以下の通りです。
アプリのインターフェースは分かりやすく、直感的に操作することができます。イコライザー設定やタッチ操作のカスタマイズなど、自分好みにイヤホンを調整できるのは大きな魅力です。ファームウェアアップデートもアプリを通じて簡単に行えるため、常に最新の状態で使用することができます。
6種類のプリセットイコライザーやカスタマイズイコライザーを使用可能

イコライザーはプリセットが6種類、そして、自分で細かく音質を調整できるカスタムイコライザーも用意されています。低音域から高音域まで、自分の好みに合わせて自由に調整できるので、自分だけの理想のサウンドを作り出すことが可能です。
タッチ操作のカスタマイズが可能


本製品は、タッチ操作に対応。さらに、専用アプリを使うことで、音楽再生時の操作割り当てを自由にカスタマイズできるのが大きな魅力です。
これにより、再生/停止、曲送り/戻し、音量調節など、様々な操作を自分にとって最も使いやすいようにカスタマイズできます。
ゲームモード低遅延のゲームモードに対応
また、アプリで「ゲームモード」をオンにすると、遅延を0.06秒まで低減。FPSや音ゲーなど、音のタイミングが重要なゲームで、ワイヤレスながらも快適なプレイを実現します。有線イヤホンに匹敵する低遅延で、より没入感のあるゲーム体験を楽しめるでしょう。
QCY Crossky C30S はIPX5防水で運動中の汗や雨にも安心

【QCY Crossky C30S】は、IPX5の防水性能を備えています。これは、あらゆる方向からの噴流水に耐えられることを意味し、運動中の汗や急な雨などにも安心して使用できます。
なお、IPX5は、完全防水ではありません。水没させたり、強い水圧をかけたりすると、故障の原因となる可能性があります。また、 充電ケースは防水ではありません。水濡れには十分注意してください。

ランニング時でもお勧めのTWSです!
QCY Crossky C30S と前モデル C30 との比較
モデル名 | QCY Crossky C30S | QCY Crossky C30 |
カラー | シルバー | ブラック、ホワイト、パープル |
対応コーデック | LDAC, AAC, SBC | AAC, SBC |
ハイレゾ対応 | 対応 | 非対応 |
Bluetoothバージョン | 6.0 | 5.4 |
バッテリー(イヤホン) | 6時間 | 5.5時間 |
バッテリー(ケース込) | 40時間 | 25時間 |
バッテリー容量(ケース) | 460mAh | 400mAh |
防水規格 | IPX5 | IPX5 |
音漏れ抑制技術 | Directional Audio 3.0、 逆音波キャンセレーション | Directional Audio 2.0、 自動サウンドビーム調整 |
価格帯(参考) | 7,880円 | 6,580円 |
QCY Crossky C30S の価格
定価 ⇒ 7,880円


まとめ:Bluetooth 6.0やLDACに対応した音質強化イヤーカフ型TWS
【QCY Crossky C30S】は、手頃な価格で「ながら聴き」を実現するイヤーカフ型イヤホン市場において、音質とバッテリー性能を強化し、より幅広いユーザーニーズに応えようとするQCYの意欲作です。
QCY Crossky C30S の長所と短所
QCY Crossky C30S を購入すべき人
- LDACコーデックによる高音質な「ながら聴き」を体験したいAndroidユーザー
- イヤホンの充電頻度を極力減らしたい、バッテリー持続時間を最重視するユーザー
- 最新のBluetooth規格や、より洗練された装着感を求めるユーザー
- スポーツやアウトドアでの使用を想定し、確実なIPX5防水性能を必要とするユーザー
- 専用アプリで細かく設定をカスタマイズしたいユーザー
最終評価
【QCY Crossky C30S】は、前モデルC30の基本的なコンセプトを継承しつつ、特に音質とバッテリーというユーザーが重視するポイントで明確な進化を遂げたモデルです。音漏れなど、いくつかの課題は残りますが、7,000円台という価格帯でLDAC対応と合計40時間バッテリーを実現している点は特筆すべきでしょう。
特にAndroidスマートフォンをお使いで、高音質な「ながら聴き」と長時間の安心感を求める方にとっては、非常に魅力的な選択肢となるはずです。「S」の称号が示す進化は、価格上昇分を納得させるだけの価値を、特定のニーズを持つユーザーには提供してくれるでしょう。